中国が経済的・軍事的に強大になってきたために、地域の
バランスが崩れてしまい、ユーラシア大陸国家間で、パワー
バランスの再編が起こっている。



北朝鮮では、親中派の張氏が粛清され、親中派狩りが、中朝
国境で起こっているという。さらに、同盟関係にある中朝の
両陸軍が、中朝国境沿いで軍事演習を行っているといいう。



北朝鮮と日本の間には領土問題はない。韓国と中国にも、
マイナーな領土問題はあるが、譲れない領土問題は特に
存在しない。日台間には、尖閣の領土問題はあるが、
伝統的に友好関係が続いている。



また、中国と国境を接するモンゴルと日本は友好的だが、
ロシアとは、北方領土終戦時の日本人虐殺・シベリア
抑留問題から、なかなか友好的にはならない。
ユーラシア大陸の南アジアでは、インドとは中国をけん制
する意味で、友好関係を築いてきているし、タイとも
伝統的に友好関係が持続している。



アメリカの北東アジアの関与は、北朝鮮の脅威をあおり、
日中の対立の中に存在感をみせるという玉虫色のもので、
確固たる方針があるわけではない。オバマの1期目には
ジャパン・パッシングで、中国との新たな関係を模索
していたが、中共の海洋への野心を東シナ・南シナで
目の当たりにして、ブレーキがかかった状態だ。



朝鮮半島は、特に韓国からは、日本の国家としての
地位を貶める戦略が露わになったので、日本も以前
のような対応を韓国に対して取らなくなってきた。
対韓国では、アメリカの意向を汲んで、友好的な
メッセージを日本政府は出しているが、日本国民自体の
韓国へのセンチメントは、韓国民が日本に対するのと
同程度にまで下落したと言える。中韓に行く日本人
旅行者数は下落の一途をたどっており、政府間の
関係より、国民同士が嫌悪感をむき出しにしている
状態と言えよう。
中国に対しても同様な嫌悪感が出ており、大陸に
旅行する日本人は少なく、親中感情は、低下している
状態だ。




日本は、ユーラシア大陸国家ではない。どこまで、
政治的にユーラシアのアジア国家に関与するかという
問題がまず、根本にある。日本は自国領、特に、
自国の領海を守ればそれでいい、とも言えるのだ。
もちろん、中東からのエネルギー供給を守るために
東部アフリカ沖、インド洋、南シナ・東シナ海
安全航行が保証されなくてはならない。そのために、
中国大陸を囲むような形で、海洋に海軍力を配置せざるを
得ないだろう。こういった大局に立って、防衛力・
海軍力を増強するのは悪いことではない。



しかし、ユーラシア大陸内部で起こることには、
不干渉の立場を堅持するべきだろう。



話が長くなったが、その意味で言えば、朝鮮半島
ユーラシア大陸に属し、我々日本が干渉しない
区域であると言える。



したがって、日米韓の同盟というのは、アメリカの
北朝鮮戦略に引っ張られているだけで、米国
自体の対中戦略がはっきりしない以上、この
同盟思想の賞味期限は切れたと言える。複雑にも
北朝鮮自体が、中共の脅威を感じて、軍事力火器
を中朝国境に配置する有様なのだ。そして、韓国
自体も以前の韓国とは違い、国際的に日本を
非難することに躊躇はしない。中韓の貿易量が
日韓のそれを凌駕しているからだ。日本は、ここ
まで穏便に日韓関係を存続させたいと思ってきた
のは、アメリカからの要望があったからで、決して
日本自体がそう思ったからではない。アメリカの
戦略は、北を韓国に吸収させたいという思惑だろう。
日本にとっては何の役にも立たない戦略である。
一旦その同盟も白紙に戻して、単独で北朝鮮と国交
正常化交渉をすべきだろう。そして、北を民主化
する方が、日本にとっては韓国との同盟より有益
であるはずだ。




北朝鮮は、中国や韓国の様に、組織だって反日教育
してはいない。北朝鮮にも、戦後賠償補償という、
国交正常化の対日カードがある。日本はこのカード
を出させた方が、対中韓の牽制になるはずだ。
拉致問題を、道義的に解決し、経済開放・民主化
北をいざなうべきだろう。




中韓との問題は数多いが、日本がどんな予算を割いても
しなければならないのは、歴史認識の整合性であろう。
日韓の有識者がいろんなところで討論するのをいままで
見て来たが、整合性をとるのはほとんど不可能に感じる
のだ。それは、当事者でないことと、それぞれが受けて
来た歴史教育の相違による部分が大きい。これは、
英国の何がしかの第3機関をはさんで、冷静に、
3国共通の歴史教科書を作成するべきだろう。
感情的なものは排して史実にそった歴史教科書を作る
べきなのだ。日中韓だけで討論せずに、常に第3者を
入れて冷静にやるべきなのだ。社会学歴史学といっても、
そこにはサイエンスがあって、嘘やねつ造で固めるべき
でないし、日本側も、反論のための反論はせずに、
粛々と歴史認識をすり合わせるべきなのだ。




ここまでやらないと、恐らく、解決不可能だろう。
懲らしめてやるとか、思い知らせてやる、ではなくて、
真実を教科書に書くべきなのだ。そうすれば、中国の
反日教育、韓国の反日教育は終焉を迎えるだろう。
ものすごく時間とコストがかかる作業だ。この2ヶ国
は、反日を国是にしているだけに。



本質は教科書や教育だが、まず、日本側から個別の
案件で、感情が絡まない分野で、協同作業を提案する
ことをお勧めする。
 1.環境・公害
 2。医療・介護
 3.新エネルギー・省エネ
 4.経済FTA交渉
こういった分野で、歴史認識を表に出さずに、まず、
友好を演出していく方がいいだろう。
いきなり大上段に構えて、慰安婦・領土問題は、ない。
平行線を辿る問題はまず無視して、解決できる協同作業
をすべきだ。



そして友好的な雰囲気が出来上がったら、協同で歴史教科書
を策定していく作業にはいるべきだろう。