普天間基地飛行場移転は、よくよくその経緯を
検証してみると、


自民党ブッシュ政権末期に決めた飛行場の
移転問題。



民主党衆議院選挙中に、沖縄県以外の移転の
可能性を示唆していた。いわば、選挙中の人気
取りであったわけだ。



いい迷惑なのは、希望を持たされた沖縄県民で、
鳩山さんもその経緯からいって、なかなか、
アメリカ案は呑めなかったのだろう。



そうこうしているうちに、オバマ大統領と、
この問題で溝が深まり、
アメリカはいまや、前言を撤回して、移転先云々
より、移転反対という態度である。



どうやら、アメリカは、普天間基地
18000人のマリーン(海兵隊)を、グアムに
移転してもいいようなのだが、その移転費用は
日本政府が
全額負担すべきだという、考えだ。




自分は詳しくは知らないが、確か、フィリピン
の米軍はほぼ全軍撤退して、その機能は、
グアム島に移転したと、聞く。



リーマンショック後、特にオバマさんになってから、
アメリカ現政府は、米軍基地維持のエコノミーを語る
ようになっており、共和党軍産複合体ビジネス
関連の議員からすれば、「歯がゆい」と、
オバマ大統領を見ている。




こういう、こまかな経緯は方法論・対処療法の
問題であって、

今一番、北東アジア・太平洋地域の安全保障に
不安感を覚えるのは、

地域紛争や、2国間のイザコザを、どういった
多国間協議の枠組みで解決できるのか?

ということだ。




まず、国連と国連軍は解決能力はない。
つぎに、米軍のこの地域の駐留の意味が消えかかって
いること。日本には徴兵制もなく、自国の安全
保障は、アメリカ軍に頼っていること。




平和主義・国連主義で、自国の安全を守れるほど
日本人はもう、ナイーブではない。




経済が発展している中国・インド・ロシアの
ブリックス3国が、アジアに存在するのは、
日本にとって地政学的に有利であるが、
それはあくまで、経済発展があっての絵空事



中長期的には、ブリックスのインフラも整備され、
その次に待機している、ベトナム、タイ、ミャンマー
フィリピン、マレーシアなどのアセアン諸国に
経済発展が移行する。



特に、中国・ロシア・インドは、国境(あるいは
隣接国)に、反政府運動拠点を抱え、常に、
紛争の火種を持っている。



いわゆる20世紀の先進国のG7各国は、
経済の魔力というべきか、中国・インド・ロシアに
引き付けられ、ジャパンパッシングなどして、
ユーラシア大陸国家にアクセスするが
(もちろん今は日本自身、ユーラシア大陸国家に
顔が向いているが)、
ブリックス景気終了後のシナリオは、どの
先進諸国にもない。



中国には1度しか行ったことはないが、
中国の奥地にいたのは、韓国人ビジネスマン以外
では、
極端に言って、
欧米人ヒッピーしかいなかった。



アメリカ人・ヨーロッパ人は相変わらず中国には
1920年代のアプローチなのである。
大都市に駐在し、独自のコミュニティーを作る。
1930年代の上海の租界と同じである。




日本人は欧米人ほど中国に幻想は抱かない。
先の戦争の記憶もあるが、
中国は奥地に行けば行くほど、泥沼化するので
ある。中国は、アジア太平洋国家であると同時に
シルクロード諸国といっても
よく、中央アジア諸国(宗教はアラビア、人種は
コーケイジアン亜種)の政治状況や経済状況にも敏感なのだ。
点と点の都市を結んでも、中国でのビジネスが
完結するなんてことはない。



昔、「中国の赤い星」という題名だったか、中国
共産党創生期の長征を、アメリカ人女性作家が
同行し(1930年代)、その一部始終、権力闘争
まで、著述していたが、
そこから80年経った。しかし、中国の奥地は変わって
いないのである。




中国の漢民族は、もともと、秦の始皇帝の時代に
(2000年以上前に)
中国各地に移民したらしいが、日本人と同じ様に、
中国奥地辺境の少数民族とは、血縁的には交わら
なかった。



経済が順調であれば中国の漢民族も、少数民族
不満はないだろうが、一旦、経済が落ち込めば、
民族対立が起こり、その民族対立を、外敵に
置き換える中国共産党の「猫だまし」が復活する
シナリオもあり得るのだ。

その時に、日本がターゲットとなることも十分に
あるし、日中戦争の亡霊を呼び起こすのは、中国
共産党の常套手段(韓国もそうだが・・・・)。

アメリカ・イギリス・オーストラリアのアングロ
サクソン諸国は、そういった時の安全弁を提供
してくれる国々なのだ。




経済だけで、政治家は国を語ってはならない。



経済を語るのは我々ビジネスマンだけでいいのだ。




政治家は、国の100年先を見通して、外交を
してほしいと思う。

以上。