[サッカーWカップ]

日本サッカーの追っかけメディアは、視聴率優先・新聞・本が売れればいいので、無責任な報道に明け暮れている。

つまり、本田選手が復帰すれば得点力がアップし大丈夫とか、宮市選手をピッチに出せば大丈夫とか、清武選手をが戻ってくれば大丈夫とか。
救世主はピッチ上に突然現れるのであって、マスコミやファンが作るものではない。1995年オリンピック予選の前園選手しかり、1997年ジョホールバルの中田選手しかり、2002年Wカップの稲本選手しかり、前回Wカップの本田選手しかり、である。鍵となる試合で、誰が彼らの活躍を予測しただろうか?誰も予測できなかった。だからその時、彼は救世主になったのだ。
アジア最終予選に関して言えば、ザック監督が勝負師なら、勝負にこだわる姿勢をみせればいい。それで全てはうまく行く。最終予選の段階で、バルセロナのサッカーをやろうとか、ウディネーゼでうまくいったサッカーをやろうとか、思わない事が一番大切になる。

また、組分に関して言えば、日本が1位通過したとしても、場合によっては、韓国か豪州のどちらかと同じ組のケースもあったのだ。97年のアジア最終予選では、韓国と同じ組で、勝ち抜けできるチームは1チームだった。そのプレシャーは今回の最終予選の比ではない。組の1位が必須だったのだ。さらに言えば、91年のドーハの最終予選はもっと過酷だ。まだWカップ出場国が24チームの時代。アジア枠は、大陸間プレーオフもなく、たったの2ヶ国。ドーハでは、サウジ、韓国が組抜けしたが、日本、イラン、イラクなど当時の強豪国は涙をのんでいる。ちなみにセントラル方式で組は1組だけ。

その時に比べれば、今回の最終予選はプレッシャーがあると言われても、自分にはピンとこない。 もちろん、韓国か豪州と同組になるのは好ましくないが、例えば今回日本が1位通過して、イラク、イランと同じ組になったら、どうだろう?逆に、組み易い相手、クジに恵まれたと最終予選に入って、思わぬ苦戦を強いられたかも、しれない。Wカップ本選で何もできずに、いの一番に帰国した、かもしれない。
翻ってヨーロッパ最終予選である。上位シード国は分散され、スペイン、ドイツ、イタリア、イングランドあたりの強豪国は同組にはならないが、10組くらい組分けして、勝ち抜けるのは各組たったの1ヶ国で、後はプレーオフである。
例えるなら、FIFAランク1位のスペインの同じ組にウクライナとベルギーとフィンランドが組分けされてしまうのが、ヨーロッパ予選である。 ヨーロッパ予選の勝ち抜けの方が、アジア最終予選勝ち抜けより楽だろうか?自分には到底、そうには思われない。
まかり間違って、最終予選で日本が3位に終わったとしても、アジアプレーオフで勝ち抜けば大陸間プレーオフのチャンスがある。大陸間プレーオフに日本代表が回ったら91年のドーハ最終予選以来、しびれる試合が見れる。まぁそこまでチャンスがありながら、Wカップに出れなければ、日本はもともとその程度の実力だったのだと思うしかない。

なので、1980年代から日本代表を見てきた自分にとっては、ここ何回か、あっさりWカップ最終予選を勝ち抜けたのに(場合によっては32ヶ国中第1番目なんて時もあった)、違和感を覚えたものだ。 今回の最終予選は久し振りに日本代表は苦戦しそうである。これが本来の最終予選であろう。

こうした苦戦しそうな最終予選の方が、新しい救世主が出てくるのだ。誰なのかワクワクするね。この救世主をサッカーファンはよく見といた方がいい。また、平時には見られない、人間性も苦戦しそうな試合には、よく見える。人間が追い込まれた場合見せる、馬鹿力や献身性もよく見える。信頼できる監督と選手(逆も)もよく見えてくる。信頼できるマスコミも(逆も)だ。

こうした機会はあまりないと思うので、自分的には、本当にアジア最終予選が楽しみです。