先日、富山の市民病院で外科部長が、末期入院患者の生命
維持装置をはずし、何人かの患者さんが亡くなったとの
ニュースがあった。通りいっぺんの斜め読みで、記事を見ると
、ひどい医師だなぁって思うけど、僕の頭の中では、
こんな発想になっちゃうんです。

    ⑤安楽死問題(貧富の格差)
    ④老人介護問題(貧富の格差の問題、少子化の問題、移民
     労働力問題)
    ③高度医療の問題(診療報酬の問題、内外価格差の問題)
    ②看護師不足の問題(移民労働力問題)
    ①疾病予防の問題

⑤の安楽死に至るまで、①〜④の流れの中で、考えるべきです。
①が子供、②〜④が成人、⑤が老人という、流れです。


今、厚生労働省自民党の政治家は、④の老人介護問題で、介護の
為の財源や、人的資源の確保には、割と積極的です。あと、②、③
も、移民労働力の項目を除けば、比較的、積極的です。
①〜⑤までに共通な必須事項は、財源をどうするか?です。あえて
言えば、⑤の安楽死に関しては、財源はいりません(?)が、⑤は
社会全般のコンセンサスを必要とし、一番、時間のかかる問題です。


政府は、財源確保に所得税は難しい(少子化で)と判断し、今後、
一般消費税を上げてくるのはミエミエです。③では、医療機器を
なるべく国産の安価なもの、薬剤もパテント切れのジェネリック
薬品、コストレスの方向につき進むでしょう。④でも、政府官僚の
努力にもかかわらず、労働力の枯渇に悩む事になるでしょう(少
子化のため)。また、民間主導の介護施設建設により、政府の財源
を減らさない努力をするのでしょうが、そうなると、持てる者、
持たざる者(もちろんキャッシュですが・・・)=介護施設に入
れる者、入れない者の格差が、今より鮮明になるはずです。

③も、政府の診療報酬の負担を軽くしたため、病院施設は、高度
医療機器を置ける病院と、置けない病院に分かれていく事になります。
儲からない病院は淘汰され、儲からない病院には、民間の資本が
どんどん入ってきます。我々患者サイドから言えば、高度治療を受け
られる患者と受けられない患者に分極化するのは(アメリカの様に)
明らかです。

②については、まだ政府は看護師や、医療従事者を、外国人で補う
アメリカの様に)事はしていません。①では、成人病=特に、
高脂血症、糖尿病の様な、疾病の予防教育も始まりましたが、まだ
始まったばかりです。

こう見てきますと、日本政府の保険制度の場合、アメリカ型の考え、
日本固有の考えが、十重二十重に絡みつき、今まで経験してなかった
少子高齢化社会に、何をしていいか、何ができるか、迷ってる構図が
はっきり見てとれます。都市部では、ある政策がうまくいくが、地方
では、それがうまくいかない(日本独特の風土が田舎にはあります)
こういった得体のしれない慣習風土も怨念とともに絡みつき、⑤の
安楽死のステージ(あるいは人生のたそがれ時)に至ります。


安楽死の是非については賛否両論あり、今、結果の出せるものでは
ありません。僕はむしろ①〜④に対して政府が我々が、どんな対応
・決定をしたかで決まって行く事になるはずだと、確信してます。
①〜④の過程でアメリカ的な政策をしたら、アメリカ的な末期医療
になるし、①〜④スウェーデン的であれば、そういった末期医療に
なるはずです。


④の介護では、自分も若干の経験があるから(といっても女房ほど
ではないが)、いつも何かおかしい?って思ってます。女房の実家は
土地持ちで含み資産はあるが、商売(自営業)をやってたため、
女房の両親(義父は他界)にはあまり年金がない(はっきり言って)。
女房の叔父(義父の弟)は、官僚出身で、年金は完璧に賄われている。
自分の親父も大企業出身で、まあ賄われているほうだろう。先日、
親父と年金の話になり、「自分も額面1000万年収あった時、
ほんとに年金ばっかり払っていた。今もらっている額だって、
少ないと感じてる。など等」話してた。女房の叔父は81か82才
だが、はっきり、「自分は子供の世話にはならん。最期は施設に入る。」
って言ったのを聞いた覚えがある。でも僕の感覚では、自分の
親父も女房の叔父も、うまくスゴロクで「あがれた」くちなんだよね。
こういう人達に介護はあまり必要ないんです。黙ってても、毎日、
ヘルパーさんは来るし、医師看護婦も往診に来る。介護医療施設も、
「どうぞ!うちの施設にお入りください!」と、パンフレットと
菓子折りを持ってくる。


僕が問題にしたいのは、年金を手厚く賄われている人達ではなく、
介護を医療介護施設にお願いしようって思っても、財政的
にお願いしにくい人達が、いっぱいいるという現実です。医療施設は
大病院であればあるほど、長期入院を嫌います。むしろ、個人経営の
病院で、入院施設のあるところの方が、死ぬまで見てくれる、逆説的
な現実が、日本には存在します。ところが、そういう病院には、入院
待ちの長蛇の列。介護施設も似たりよったりの長い列。



医療介護・社会保障に関しては、ビジネス的に、アメリカ流に割り切って
考えられない側面が多いのです。共産主義社会主義はすでに死滅し
ましたが、この分野に限っては(子育ての分野でもそうですが)、「
国の赤字を減らすために云々」と言ってたら、必ず、子々孫々に禍根を
残す事になるはずです。僕はアメリカお宅かもしれませんが、上記の
分野に関しては、全くアメリカ流は薦めませんし、むしろ、その傾向
を嫌悪さえしています。「お金ないなら、病院に来ないでね」っていう
感覚はどーも馴染めません。
自分も、介護や終末医療社会保障に関して、知識がないんで申し訳
ないのですが、今、政府主導で行われている改革が、なんか、
「ほんと?やばいんじゃないの?」って感覚的に思うんです。
こういう時に、小田実のような切れるオピニオンリーダーが出てこない
のが、残念ですね。
随論・日本人の精神
何でも見てやろう (講談社文庫)