日本が抱えている領土問題は、近接するほぼ全ての国々(アメリカを
除いて)と懸案になっている。最近は、竹島での衝突寸前、尖閣諸島
北方4島と、領土問題では、八方塞がりだ。


中国は確か昨年か一昨年に、ロシアと、黒龍江省、アムール河周辺(
ウスリー島?)の領土確定交渉を終えて、一応の決着を見ている。概要
は忘れたが、簡単に言えば、「ロシアがココを取る代わりに、中国が
ココを取る」と、言うものだ。いわゆる、明治政府と帝政ロシアがやっ
た千島樺太交換条約の様なものだ。中国もロシアも現実的な政治判断を
した、とういう訳だ。


翻って日本政府には、策がない。1970年代に、周恩来田中角栄
日中平和友好条約を取り交わした時から、何も進歩していない。今は、
石油や天然ガスなどの地下資源をめぐって領土問題がセンシティブなの
だが、ここまで中国韓国ロシアと先が見えないと、暗い気持ちになる。
今の官僚や政治家は、秀才(東大京大出)の二世が多いと聞くが、現状
を維持する事には長けていても、行き詰まりを打開する能力はない様だ。


これも、戦前の政治家や官僚の手法を否定する教育から始まっている
ので、仕方のないところ。2週間ほど前、NHKで、ソ連との国交回復の
交渉過程を細かく報道していた番組を見た。その交渉で、鳩山首相
河野農相らが、ソ連フルシチョフらと渡り合って、結局、シベリア
の抑留者返還と、歯舞色丹の2島返還の言質を覚書で得たわけだ。この
交渉過程で、ソ連ハンガリー動乱にあい、ひたすら日本側にはそれを
隠していて、日本は日本で、河野農相が「このような覚え書きでは、
日本の反対勢力が納得しない」などと、わけのわからない内向きな
論理を展開していた。鳩山首相はよかったね。高邁な理想主義があった
ように思う。シベリア抑留者返還という。これは、ソ連にも心打つもの
があり、納得したようだが、日本の領土交渉はお粗末だった感じがした。



80年代後半に、ロナルドレーガンが、日系米人が戦時中、アメリカの
キャンプに収容されたことへの賠償を支払った。一人200万円くらい
だったかな。詳しい金額は忘れたが。このように、政治家はまず、何か
を与え、それが理想主義であれ、取引(バーター)であれ、やらねばな
らぬ事をしないと・・・。国内の抵抗勢力を交渉時に持ち出しても、ユ
ニバーサルに認められるわけもない。現状維持にこだわっていては、政
治的に得られる果実は少ない。ビジネスと基本は同じじゃないかね?
1970年なら、まだ日本大好きな周恩来がいたんだから、何とかなっ
ていたが、今じゃとてもとても。
現状維持というのは、子孫に負債を負わしているだけじゃないの?
もうちょっと言いたいこともあるが、「夕刊○ン○イ」でもないんで、
やめとこ。