領土問題の議論・交渉で、領土だけを議論し、他の懸案を
議論しないのは筋論だ。しかし、そのような議論はしても
ほとんど意味をなさない。
領土問題を解決するには、平和的な雰囲気の政治情勢が
必要だ。これは、韓国や中国に言えることだが・・・。
日本がソ連との国交正常化の交渉中に、ソ連が日本に、
歯舞色丹2島返還を譲歩したのは、故鳩山首相の平和的
アプローチに、ソ連が答えたもので、棍棒を体の後ろに隠
して(あるいは棍棒を見せながら)「俺の土地を返せ!」
と言ったわけではない。
今や、日中韓の領土紛争をみると、特に、中韓に多くあて
はまるが、領土問題を政治的なパワーゲームの道具に使って
いる感がある。特に韓国は、領土問題と歴史認識を絡めて、
日本の罪悪感が、領土交渉に進歩をもたらすことが出来る
と、錯覚している感じがする。日ソの交渉でも分かる様に、
領土問題は、現在の世界情勢では、平和友好親善の枠組み
が出来た後、最後に「おまけ」で、出てくるものという
認識が中韓、特に韓国には必要だ。韓国は日本との領土
確定交渉しかなく、他にあまりしたことがないので、
領土交渉に、あまりに感情的すぎる。日本人は、1972
年の日中平和条約で、故周恩来首相が賠償を放棄した事
に感動したし、故毛沢東主席が、「兄弟げんかは終わりに
しましょう」、と言ったことにも感慨深かったし、残留
孤児を嫌がらず育てていた中国の懐の深さに感動もした。
全て、日中の善隣平和友好の枠組みの中でという、大前提
があったはず。



領土問題は、世界的に見てどの国にもセンシティブな問題で、
戦争にまで発展してしまうのは、第一次大戦第二次大戦
見ればあきらかで、強奪する側は強気に「次も次も」強奪
される側は「もうこれで終わりということで」という心理が
働き、ある閾値に達すると、取り返しのない暴発(戦争)に
至る。
英仏は、ナチスドイツに、譲るだけ譲った。ズデーデン地方の
併合、いいでしょう。オーストリア併合、許します。チェコ
併合、堪えます。行き着くところはポーランド。もう無理
です。戦争ですって、なっちゃったんだよね。この流れは、
どこの国のどの民族も知っている。だから冷静に落ち着いて
話しましょうと、言ってるのに、韓国の大統領はいつも、
オーバーリアクトする傾向があるね。領土に「土地登記簿」
なんてないんだから、声高に叫んだほうが勝ちと思うかも
しれないが、そうなると、第二次大戦前に土地を譲りに
譲った英仏も、結局戦争を決意し、未曾有の大戦争を世界に
もたらすことになった。(もちろん悪いのは、欲しい欲しい
と叫んだナチスドイツだが)

その辺の流れを、英仏独露米日伊は遠い記憶に刻んでるんだ
が、どうもアジア諸国中南米諸国には、そういう視点は欠
けている。「声高に叫べば土地は返ってくる」「俺たちは被
害者だから、土地は返ってくる」っていう認識のずれがある
ように思う。ただ中国は尖閣諸島東シナ海の係争地域を、
資源戦略的に重要と位置付けて、まず資源開発という視点で、
感情論より戦略論で、叫んでいる様だが・・・。



確かに、日本が中朝を侵略し、多大な損害を与えた事実はある。
それは、80年代後半にレーガン大統領が、日系米人達を補
償したように、中韓両国被害当事者に「許しと賠償金」で、
日本政府人民が真摯にする事。補償の問題は、ケースバイケ
ースにする事。そうした場合であっても、領土確定交渉は、
違った側面があり、いわゆる当事国領土間の「バーター」
で解決するしか現実的でない。歴史的に見れば、千島樺太
交換条約、アメリカが帝政ロシアから金銭でアラスカを
購入、最近の中露のアムール河周辺の領土確定条約etc.
(他にもいろいろあるかもしれんが・・・・・)
一般市民の土地争いに翻って考えて見ればわかると思う。
両家の確執より先に「土地登記簿」にのっとって、両家の
友好的な妥協で示談し、解決していく。国でも同じじゃん。




僕が言いたい結論は、端的に言って、

 ①領土問題に、歴史認識を絡めない、絡めさせない。
  係争領土は、どの国も、自国のものと思っている。
  (ノスタルジックな感情はどの民族にもある)


 ②領土問題解決は、平和友好の中でしかできない。
  (当事国の領土交換=こっちはお前があっちは俺が。
   又は、金銭購入で解決) ただし領土交換は、係争地
   域が2つ以上必要。
  (注!)新たに作り出す必要はない。


 ③領土問題に固執しないように歴史が教えている。 
  (大戦は、領土問題から始まっている)


この3点です。