数日前に痛ましい事件があった。

自分と同じ世代の女優のSさんが、母親の介護
を苦に自殺した、という事件である。


お母さんは、糖尿病を患って、数年前から目が
見えず、Sさんが、女優の仕事を辞めて、
一人で介護していたらしい。


「う〜む」と唸るしかないないね。


最近、仕事を解雇された子供が、年老いた両親の
介護ができず殺してしまうケース、老老介護
苦に自殺するケース等々、痛ましい事件があとを
絶たない。


以前この日記でも書いたが、東京都下のあるお坊
さんに聞いたが、最近、無縁仏(ご遺体の引き取
り手のない仏様)が、異常に多いらしい。
つまり、子供に厄介にもなれず、さりとて一人
では生きられなく、一人でお亡くなりになり、
その位牌や遺骨さえ、引き取り手はない、という
痛ましいストーリーである。



女優Sさんの死とあわせて考えるに、
もう日本には、お年寄りを、家族で、兄弟で分担
して面倒見ようという発想はないんだが、
責任感が強い誰かが、一人で背負ってしまうという
悲劇が、こういった痛ましい事件の根底にある
のだ。


よくよく考えるに、Sさんの場合、お母さんを
施設に預けるという選択肢もあったんでは
ないか?とも思える。もちろん自分で稼いだ
お金や土地住宅まで売却して、ご自身の母上を
施設に預けるなど、しのびないものがあるので
あろう。



実際、自分の女房の母(私の義母)を、女房が
貯金田畑不動産すべてをはたいて、義母を
施設に入れる・・・・・そういった選択を、
すすめてみもするが、女房は
なかなかできないし、突っ込んで考えもしない。
Sさんとは相通じるものがあって、自分には結構、
重いものがある。
「ふっきれない」のは、結局、日本的な価値観、
地域の人達の目、であったりもするのだ。



介護なんて、やってる人達にしかわからない
諸所の事情があるものなのだ。
お金があっても解決できない、どろどろした
ものが、この介護地獄にはあるのだ。



認知症であれ、何であれ、当人のご老人達は
介護されているという感覚はない。
あたりまえと思っているのである。


そして、介護されるご老人に限って、お金も
ないし、人徳もないケースが多いものである。
実際、十分な資産と年金があれば、即、自分の
意思で、施設にも入れるし、あまり、家族に
負担がかからない。


高齢者介護の悲劇は、
1.日本的な価値観を打ち破れない点
2.被介護者に何も残っていない点


この2点に尽きる。



ロナルド・レーガン米大統領が数年前、
長い間、
認知症を煩ってお亡くなりになりました。
こういう方を介護するのと、ごくごく一般の
ご老人を介護するのとでは、天と地の差が
あるという事を、日本の政治家は知らねば
ならない。


頭で知っているのではなく、実際、苦労して
いる介護者たちに、あって話して悩みを聞く。

これぐらいはして欲しい。



女優Sさんの自殺の悲報を聞いて、落ち込んで
しまったが、
これからは、どうやったって、高齢者介護で
いいニュースなんて出るわけがない。


1.介護する方の自殺
2.介護される側が殺される
3.介護される側のニグレクト(無縁仏)
4.介護される側の自殺(絶対ないってこれは



人生最後の瞬間で、家族を巻き込み不幸を
撒き散らす。悲劇としかいいようがない・・・



Sさんのご冥福を心からお祈り致します(合掌)