さらにさらに日中関係そして日米関係

北京と上海で小規模の反日デモが起こっている。デモのメッセージが、「釣魚島(日本名で尖閣諸島)は中国領だ」、というのは解るが、「日本に観光旅行する中国人は非国民だ」というメッセージはいただけない。 今や、政府が音頭をとって無知な国民に、ああしろこうしろ、という時代ではない。観光旅行する権利、どの国に旅行するか決める権利は、国民にある。これは共産党中国だけでなく、日本にもあてはまる。 我々アジア人は、どうも問題を感情的に、全てに関連させる悪い特性がある。 日本側から見れば、2国間の領土領海領有権問題を、中国の資源奪取目的の覇権主義に。中国側も、面子を失って、その報復をすることに血道をあげる。東シナ海域の小さな島の領有権のために、両国とも大局を忘れて、すなわち、第3国第4国に漁夫の利を与えることだ。 いま日本側の問題は停滞している経済にある。1990年代の失われた10年を経て、いよいよ立ち直るか立ち直れないかの正念場にある。 普天間基地の日米関の亀裂が、今回の中国の太平洋海域進出を促しているという識者がいる。よくよく世界地図を眺めれば解るが、アメリカはアジア太平洋国家というより、大西洋国家なのだ。日本と中国の距離を眺めてみれば、隣人であることに気づかないわけにはいかない。現アメリカ政権は、アジア太平洋の安全保障ではまず韓国、次に豪州で、日本については3番手4番手の位置付け。経済についても、中国、インド、韓国、シンガポールの後、4番手5番手の位置付けだ。我々、日本人が深く考えなければならないのは、ソビエト崩壊で安全保障の枠組みが、リーマンショックで欧米中心の経済枠組みが、 全く新しい形に変化したことだ。大切なのは、アメリカが中国に対して圧力をかける際、日本カードを切らしてはならない。また中国がアメリカに反抗する際、日本カードを切らしてはならない。哲学的ど難しいが、日本は自国を小国と認識し、中国に対して、尖閣諸島領有カード、ガス田開発カード、OECD援助停止カードをしっかり握っておく。アメリカに対しては、安全保障カード、すなわち、薩南諸島から台湾までにアメリカ軍を駐留させるかさせないかの大切なカードを保有しながら、ポーカーのゲームを冷静に進めること。 太古の昔、商売の上手な海洋の民フェニキアという国が地中海にあったらしい。ちょっとした対応の間違いで大ローマ帝国を怒らせ滅ぼされた。日本は第2次大戦で一度死んでいる。これを忘れてはならない。また一昨年までは世界2位の経済大国だった。日本政府は落日の対応を誤らないことだ。それでもまだ世界第3位なのだ。 これから先10〜20年は中国とインドからの揺さぶりは、どの国も受けるはずだ。1960年代70年代80年代のアメリカがそうだったように、傍若無人な要求もあるだろう。 昔、自分たちが小さかった頃は、「日本は資源のない小国で」と、政治家はまず冒頭に語っていた。この気持ちが大切だ。冒険主義はその国の根幹を破壊するだけだ。 大局にたった対応を政治家はしなければ、国は間違いなく滅びる。他国にオモネルんじゃなく、日本政府は、どの国にも言うべき事をきちっと言う。ただこれは、他国が受け入れるかどうかは別。 この日記で再三書いたが、普天間の米軍基地を沖縄県外に移転する際、候補地はあるのか?沖縄県外に移転して台湾〜薩南諸島の東側の海域を防衛できるのか?政治、安全保障はママゴトではないのだ。政治家は現実的に対処すること。反中国、親中国は両者とも間違いだ。