一線を越えた共産党中国

中国政府は、尖閣諸島周辺で衝突事件を起こした漁船船長の早期釈放を楽観視していたようだ。 日本の検察捜査司法の仕組みは複雑で、今回のケースでは船舶破損にまでいたっているため、単なる強制送還にはなりそうもない。しかも事件が起こった場所が、日中両国が領有権を主張する島だ。それが日中両国のナショナリストの感情を刺激している。 日本、中国、アメリカのヤフーでもこの問題には(このニュースには)多くの書き込みがされている。日本の書き込みは99%日本側だし、中国の書き込みも100%中国支援。これは当たり前だが、面白いのは、アメリカのヤフー書き込みだ。2000以上の書き込みを見たが、日本を非難する書き込みは、昨日時点では約10%くらいだ。ほとんどが突出した経済力を背景にした中国の資源略奪の覇権主義を非難する論調だ。日本は、中国よりかなりの小国なので同情する書き込みが多かった。また中国共産党政府のいつものブラフ(脅し)は変わらない、北朝鮮などと同じで、話せない(対話できない)国と書き込むのも多かった。日本は、だいぶ忘れ去られた存在になったようだ。まず中国政府批判、中国人批判が先で、日本台湾、フィリピン、インドネシアベトナムの領海主張は後回し、らしい。アメリカのヤフー書き込みは、アメリカ対中国という対立点から論じているので、どうしても中国の覇権主義を断ずる書き込みが多い。 中国は、20年後にはアメリカを抜いて世界一の経済大国になると予測する学者がいる。(インドがすぐ中国を抜いて世界一位になるはずだが) 日本は中国に近く、インドへも時差が4〜5時間くらいのアクセスだ。この2国の政治経済に、日本がどのようにアプローチするかに、50年後の日本の姿がある。 今回の領海問題を契機に日本は、まず 1、 日本周辺の安全保障(自国の軍隊空母増強なら、憲法9条や非核3原則の見直しも必要)を議論し詰める。そして実行する。 2、中国とインドの経済依存度を輸出輸入別に、どの程度の割合にするか策定する(各企業が判断することだが、カントリーリスクを考慮して、米中印欧他の5地域とも20%づつにするのが理想だ) どの国も政経分離ができれば幸せだが、中国は政経分離が一番できない国なのだ。そういう国とビジネスする覚悟が日本には必要だ。 と、書いたところで、ニューヨークタイムズから新しいニュースが飛び込んできた。「中国のレアアース対日全面禁輸」である。レアアースは、埋蔵量はわからないが、産出量は中国が全世界の99%を占める。ほとんどの家電製品、ハイブリッド車ソーラーパネル風力発電に必要で、希土類と呼ばれる17種の元素である。ただ、一部の日本企業はレアアースに代わる金属触媒を開発したという情報もある。 両国の領海係争地域に、わざわざ漁船を派遣し、問題を起こす。日本が問題をうやむやにしたら、次のターゲットは石垣島西表島になる。ベトナム(武力でベトナムの島を略奪)と同じ運命を辿るか否かの分岐点に今、日本はいる。日本にとっては今回の中国の措置は、第二の天安門事件にあたる。一時的に日本経済は苦しくなるが、大陸中国から暫時、日本企業は撤退すべきだろう。中国が他国への領土的野心を捨てない限り、日本は妥協すべきではない。日本は中国に領土を取られた国々と連携し、中国を牽制しなければならない。今回のケースは中国政府の領土的野心を感じる。これは確信犯だ。 両国の係争地域を、その様に扱わない時点で、確信犯である。この数年の中国の領土拡張主義は、第二次大戦前のナチドイツ、軍国日本と同じである。 あの漁船は両国係争地域に現れたばかりでなく、海上自衛隊艦船を破損させている。その時点で立派な確信犯だ。 領土的野心のある国と、対話はない。日本は海軍力でしか、中国の野心は抑えられない。日本が下手な妥協を中国としたら、南シナ海の島々は10年後は全て中国領である。 日本は政府も国民も腹を据えてかかることだ。中国の野心をくじくには、海軍力しかないと知るべきだ。戦後65年の東アジアの平和は、今年、転換点を迎えた。日本は、反中国の国々との連携を拒絶してはいけない。アジアの多くの国々と広く連帯することだ。融和政策で中国の領土拡張主義は、改善はしない。 以上