不安定なベトナム

ベトナム政府は、中止していたカムラン湾ロシア海軍の利用を認めるかもしれない、というニュースが今朝飛び込んできた。考えてみればベトナムもまだ社会主義国家だったか。ロシアが介在し始めると、南シナ海南沙諸島西沙諸島の領土領海問題は、今後ますます複雑化する。ベトナムとしてみれば、南シナ海ロシア海軍を介在させるのは、中共への牽制の意味があるのだろう。この地域のアメリカ介在への疑わしさ、あるいは嫌悪感があるのかもしれない。ただ、ロシアが南シナ海の領土領海問題を中共と組んで、ベトナムやフィリピン、インドネシアの頭越しに話して連係することもあると、思うべきだろう。日本なら、中共の海洋侵出に対してロシアが抑止力になると思う政治家はいない。やはりベトナムアメリカとの戦争の過去から、アメリカに対する警戒感が強いのであろう。 ベトナムは東南アジアや米豪印と連係した方がいいのにね。ベトナムでビジネスするには、中国リスクだけでなく、ロシアリスクを考慮しなければならなくなった。拡大アセアン(米豪印露日韓ベトナムが入って)の中で、多国間安全保障の枠組みを構築すべきだ。世界はますます多極化し不安定感を増している。1920年〜1930年代の列強の、エゴイズム丸出しの世界に戻りそうな感じである。スターウォーズで言うなら、悪の権化パルパティン議長(シス卿=中共)と対抗するのに、ドゥークゥー伯爵(ロシア)に助けてもらうようなものだ。ドゥークゥー伯爵もシスである。 いまの日本海軍の実力は、ロシアのちょっと下くらいで、世界第4位くらいらしい。海軍力は米国、英国、ロシア、日本、中国の順。中国海軍が増強しているため、最新の順位は世界第5位くらいか。ベトナムも港湾基地を貸したいなら、英国と日本に共同で貸した方が、地域の安定性は上がると思う。 どちらにしても、「南シナ海は波高し」で、今後2〜3年以内に大掛かりな海上での衝突もあり得る展開だ。ベトナムに製造生産地を移転している日本企業は、今後注意が必要だ。