多極の時代

いま一番、世界のトレンドに逆行しているのは、多分、中国共産党であろう。 世界は、ソビエト崩壊後、数々の国々が誕生した。旧ユーゴスラビアでは、人種戦争(内乱)を経て、舌を噛みそうな国名の国々が次々誕生した。現代においては、違いを矯正したり、弾圧したりする権限は、国家にはない。国家はますます小さい役割になるはずだ。しかし、先のリーマンショックから、政府の役割が大きいと言われる様になり始めた。経済的にだが。 共産党中国は、ブリックスの一員として、リーマンショック後の世界経済に貢献した、 また、今回はギリシャ財政破綻の援助をした、という自負があるようだ。 それでは、世界経済で第2位となって、経済ばかりでなく、地域の安定(安全保障)に貢献しているのだろうか? 中共の遠洋海域への野心は、トゥ小平の時代から始まったと、言われている。 個人的には、中共と中国で普通のビジネスをしてもいいと思っている。これには前提条件がある。遠洋海域への野心を捨てれば、可能だ。しかし、中国共産党のやり方は、島一つを係争地域にして、軍事力と経済力とプロパガンダで、その島を実効支配する。その島を足掛かりに、一つ一つ他国の海域に侵出する。このスタンスは、ベトナム、フィリピン、インドネシアに対しても変わりない。 日本の首相は、自国の領土問題をヨーロッパの首相と話しても、ただの二国間領土問題で終わりになってしまうのだ。大変問題なのは、中国共産党の他国の領海侵攻資源奪取の手法なのだ。 今回の日本と中国の領土問題で、先の日中戦争を持ち出したり、中国人の個人的な問題を持ち出したりするのは、的が外れている。 問題なのは、領土領海地下資源奪取のため、手段を選ばない中共の方法論にある。 中共は1つの島だけでは満足しないのである。ここに問題がある。1つの島だけで満足してくれる台湾には、個人的にあげてもいいが、1つでは満足できない中共には、尖閣諸島など、個人的には1mmたりとも渡せないのである。香港を英国が返還したのは間違いだった。中共はごねれば何でも貰えると、錯覚したようだ。 日本にとって明らかなのは、一つ。自分達の領土領海は自分達で守る、というシンプルな事だ。 中国大陸は、入れば入るほど泥沼にはまり込む。先の日中戦争を見れば明らかなのに。我々日本人は、過去の歴史を何も学んでいないのだ。中国の地で1945年に終戦を迎えた、軍人や企業人はまだ、生き残っています。経済人トップは頭を空っぽにして、彼らから歴史観、中国観を聞くべきだ。憧れとお金儲けだけで大陸に行くのは、日本人が80年前に満州に渡ったのと同じ。そこには、歴史を学んでないし、何の芸も技も感じられない。故人の跌を踏まぬことだ。 戦前、大陸中国に渡った人々に、心構えを聞くことだ。まだいっぱい生きてますよ。「じゃあお前なら、大陸中国をどう扱うんだ?」と尋ねられれば、「大陸中国に深入りするな。大陸の問題は大陸に解決させろ。日本の海沿いに出てくる中国人は、元寇(モンゴル)だと思えばよい」とお答えします。 アメリカは、日本を踏み台にして大陸中国への経済攻勢を考えているが、それに乗れば、日本はますます大陸内部から身動きが取れなくなるはずだ。アングロサクソン流に「君臨すれど統治せず」の態度が大切だ。すなわち、トヨタでも日産でも、どこの会社でも、大陸中国の工場は従業員は100%中国人で、日本人は工場長1人だけでいい。日本には大陸中国の製造業を心配する前に、自国製造業の空洞化を治す宿題がある。日本政府は、空洞化した製造業を立て直すため、移民をどんどん受け入れる必要がある。 大陸中国でビジネスしても、日本人個々はなんにも豊かさは感じられないはずだ。日本内部の構造改革が、今の日本に必要な大切なことなのだ。経済界はこれに目をそらしてはならない。