中国で働く熟年日本人技術者

英国のニュースから。いま中国で働く熟年日本人技術者の数が急増していて、55才以上くらいの技術者が3000人ほどいるという。だいたい、中小企業出身者で、金型の設計製造にかかわってきた技術者という。会社から早期退職を勧告されたり、リストラされた熟年技術者らしい。自動車部品の金型を造る技術をはじめとして、どんな製品のパーツ製造にも金型を使う。


この技術が中国に流出してるとあって、英国マスコミも「日本よ。それで大丈夫なの?」と心配しているのだ。

また中国に仕事を求めていかざるを得ない、熟年日本人の悲哀もある。もし日本企業に熟年者を受け入れる受け皿があれば、何も好き好んで中国まで出稼ぎには行かなかったのだ。


このニュースには多くの問題をはらんでいる。
1 日本企業に、熟年者(約55才以上)を受け入れる経済的余力がなくなっている事。
2 中国に日本企業の技術が流れて行く事。
3 技術者、労働者は国境を越えてニーズのある国に移動する。日本でも個人レベルでその移動が起こりはじめた事。


2 に関して言うなら、企業がリストラした技術者や労働者のスキルを甘く見てる点だ。確かに、金型などなくても製造部品を造れる最先端の技術が、日本の大企業にはあるのかもしれない。中国に仕事を求めた技術者は、もう日本企業に使えない技術しか持っていないのかもしれない。たが本当にこれで、日本の製造業の未来は明るいのだろうか?ちょっと考え込んでしまう。 家電品製造企業が今決算期全滅したのは、こんなところに原因はないのか?


1と3について自分は明るくとらえたい。自分達のちょっと上、先輩の年代の企業人が、座して死を待つのではなく(ちょっと大袈裟ですが=笑)、思いきって海外に活路を求める。 自分がこの日記で再三さいし薦めた生き方が、もう現在進行形で、日本人サラリーマンの間に起こっているのである。


この人達はよほど悔しかったのだろう。企業家は自分を欲しがってくれる企業で働くのが幸せなのだ。そこが地球の反対側にあろうとも。いろいろ挫折はあるだろうが、人間生きてるうちが花、しょぼくれる前が花である(笑)。彼らのチャレンジ精神を心から応援したいね。

この人達に裏切り者などと、レッテルをはってはならない。
コネで霞ヶ関に入った2世の官僚、天下りを繰り返す太子党官僚よりは1000倍よい。