スパイ活動に対する罰則の法律の制定を急ぐあまり、
在日中国人や在日韓国・朝鮮人の日本国内での自由を
規制する方向に世論が流れるのは好ましくない。





大局的に見れば、在日中国人たちは日本の資産で
あろう。大陸の政治変化を促す意味で、世界に
散らばる華人民主化勢力は、中共に対する
レジスタンスになると考えてよい。





数ヶ月前、日本でテレビによく出演していた
大学教授の朱氏が、上海で中共に拘束された。
もし、米英在住の華人が、大陸で拘束されたら
、米英は黙っていないだろう。日本政府は、
国籍がどうであれ、日本在住が長い外国人の
人権束縛や自由束縛に、一定の責任があると、
自分は思う。
指をくわえて黙っているという事は、大陸に
対して「正常な内政干渉」をしているとは
言えない。日本国籍があろうと、なかろうと、
もっと、自由や人権の束縛には、声を出す
べきだと思う。





バイデン副大統領が、日中韓を訪問する。
政治的に大きな期待はできないであろう。今の
民主党内で、一番日本から信頼の厚い人は
クリントン国務長官だろう。続いて、
ヘーゲル国防長官か。オバマ大統領は、やはり
日和見主義の印象が否めない。シリア攻撃を
土壇場でキャンセルした姿は、「パックス・
アメリカーナの終焉」に重なる印象だ。





大局的に見れば、日中の関係が今の様な不正常
な状態であってはならない。
尖閣問題」を脇に置いといたとしても、
太平洋の覇権問題は、避けては通れない。
多国間協議に中共を引きずり出す方法もある。
例えば、米豪露3ヶ国に、
日中が参加した5ヶ国で、太平洋の船舶航行や地下資源
探査などを交渉し、これが発展すれば、海軍の軍縮
交渉まで行う。




太平洋の既得権益者は、米豪と国連だ。
したがって、米豪は太平洋の覇権を、中国と話す
ことなど今の時点では0%だろう。しかし、
中共を太平洋の覇権の枠組みの中で規定する
のは、日本・フィリピン・台湾・インドネシア
などの海洋国家には必ずしもネガティブには
働かない。




太平洋の現状は、米豪の代理で、日本・フィリピン・
台湾が中共の防波堤になっている感は否めない。



アメリカの世論をみても、「尖閣諸島」は日本と
中国の問題で我々の問題ではない、というスタンス
も垣間見れる。



主導権をとり、先手を打って、中共を太平洋覇権の
多国間交渉に引き出す手も、日本には「禁じ手」
として残っている。
そうなった場合、米豪はやっと気づくのだ。
東シナ海南シナ海・台湾の問題は、米豪にとって
死活問題であった事を。




中共の習は、米国のオバマに言ったという。
「太平洋は、中米で管理するには広すぎる」と。
日本から見れば、太平洋の管轄は、ほとんど、
米豪の第2次大戦勝者2ヶ国に委ねられている。
日本から見れば、自国の領海と経済水域さえ守れ
ば、どうでもいいじゃん、とも言える。失うのは
日本ではなく、米豪の権益だけとも言えるので
ある。




こういった、モロモロの裏話を理解すれば、
中国と交渉の余地を残しながら、米国と
水際で中共の海洋進出を止めると言う、
相反する事柄を進めるしか、ない。
中国に地理的に近い日本の、これは宿命だと、
思う。





今は米豪も、日本やフィリピンを前面に出して、
中国に対抗しているが、いつか梯子をはずして
日本の頭ごなしに、太平洋の権益の交渉する
ことも、あながち、なくもない。




日本は、
太平洋の権益に関する枠組みを決める多国間協議
を、念頭に置いておくことだ。




ただ、残念にも、日中とも、上記の様な複雑な
外交交渉をたやすく推進できる政治家がいない。
両国とも、政治家は2世3世で、劣化している。
ゴルバチョフ」「エリチン」級の政治家が
両国に居れば、「領土問題」や「多国間交渉の
枠組み」など、3分くらいで解決する問題なのだ。





韓国が米中の間に入って右往左往する姿は実は、
日本にも当てはまることなのだ。
戦後日本は自由と繁栄の引き換えに、米国の
世界戦略に飲み込まれる道を選んだ。
それ自体、悪いことではないが、親分の米国に
力の衰えが見える以上、日本は韓国と同じ宿命
が待ち受けていると思う。
自国の主権や領土を守るのは、自国の軍事力と
経済力がメインになる。





近未来的に考えて、大陸が民主化したとすれば
(現状では可能性は0%だが)、仮想敵国は、
中共でなく、米国になる可能性すら0%ではない。
いろんな角度から国益に合致した多面的で
民主的な政策を、日本は考えなければならない。
いつでも「梯子をはずされる」かもしれないと
考えて、安全保障や同盟関係を複合的に作って
おくことが必要になる。





米国が何故、第2次大戦のヨーロッパ戦線に
参戦したか、その経緯を見れば、同盟を1国
に頼る危険性は明らかだろう。米国の最大の
同盟国、連合国側の英国に力を貸したのは、
日本が真珠湾を攻撃した後の事で、独が
米国に宣戦布告した(日本との同盟で)あと。
いやいや米国は欧州戦線に参戦したのだ。
ソ連も、盟友の中共のために日本との参戦を決意
したのは、中共のためではない。米国のルーズ
ベルトから千島列島と南樺太の権益割譲を
確認してから、である。





世界は、そんな風に動くのであって、馬鹿の
一つ覚え見たいに中韓を排除しても、
長期的に日本の国益に合致するかは、甚だ
疑問なところもあるのだ。