朝鮮を含んだ大陸中国と日本の交流は、2000年以上
に及ぶと言われるが、実は、国家間の正式な交流が
2000年の交流を促進してきたわけではない。



秦・前漢後漢・魏までは、日本の一地方勢力、九州の
豪族が主役を演じて来た。
大和政権が成立した頃は、隋や唐の進んだ官僚制度を
学ぶため日本の役人が一時期留学していた。
その後の時代、宋では、陶磁器のビジネスで、日中交易
が盛んになった。
元・明・清・中華民国の時代は、日中はかなり距離を
置いていた。国家レベルの交流は、まさに近くの他人
だったのである。




朝鮮とも、百済の時代の一時期、日本と朝鮮のつながり
が強まったが、日韓併合時代まで、とりたてて、朝鮮と
国家間の絆が強かったという時代はなく、むしろ、
お互いがそっぽを向いた状態だった。




国家レベルでの関係は上記の様にかなり希薄であったが、
民間レベルでは、かなり交流があったと言っていいだろう。
国家は交流を主導したことは一度もない。日本側で
言えば、隋・唐、百済の時代以外に大陸と直接かかわろう
としたことはない。先の日中戦争まで、つまり6世紀末、
7世紀半ば〜20世紀初頭まで国家間の交流はなかった
と言える。もちろん16世紀に、臨終間近の秀吉の
妄想に日本が引きずられた事はあったが・・・。




日本と、中韓とはそういう間柄なのだろう。
敢えて、国家や政治家は、反中・反韓や親中・親韓を
煽る必要はない。日本の政治家の扇動は全て国内向けに
過ぎないのだから。



民間レベルで、中国でビジネスをやりたいと言うなら、
国家間がいがみ合っても、自分はやってもいいと思う。
大陸に対しては、日本人は2000年前から、そのように
接してきたのである。それで構わないのだ。
国家間で和解できなくても、民間は、麻雀で雀卓を囲む
ことはできる。中国との関係は、それでいいのである。
我々の先人は解っていたのだ。日本が中国を遇すれば、
中国人は遠慮会釈なく、日本の領地に侵入してくることを。




ほどほどに付き合う。


それが、近隣・近所との付き合い方なのだ。



去年もこの日記に書いたが、中韓反日キャンペーンに
日本政府がのる必要はない。
全ての事象に、是々非々で対応すればよいのだ。
中韓との関係が悪いので、「何でもやってよい」という
のは大人の発想ではない。
何について日本が許せないかを、ロジカルに列挙すべき
で、


中共に対しては、
(1)太平洋への進出・特に人類公共財である海洋へ
   の覇権行為。
(2)江沢民(1990年代半ば以降)以来の反日教育

   この2点に尽きる。



韓国に対しては、
(1)国家主導の反日キャンペーン・反日教育
 
   ここに尽きる。



領土問題もあるが、領土問題は、どんな諸外国もそれ
なりに大なり小なりこういう問題は抱えている。




元をただせば、上記の問題にぶち当たるので、これらを
抜本的に解決しない限り、日本政府側からみれば、
モグラたたき状態は解消されない。
国民に、ある特定の国を嫌いになれと、教科書に書いて
教育している時点で、既に、関係は破綻しているのだ。



大局的に見れば、日本は、モグラたたきをする予算も
必要だが、中韓には、根幹を変えるためのスパイ工作や、
情報戦、世論誘導など、こういうソフト面に予算を
割くべきなのだ。



ただこれは、白人に黒人を好きになれとか、黒人に
白人を好きになれとか、ユダヤ人にアラブ人を好きに
なれとか、アラブ人にユダヤ人を好きになれと言ってる
ことと同じで、時間をかけても解決しない問題だと
言えるのだ。



だから、政治家は、対立を煽るような事をわざわざ
自分から行うべきではないのだ。
お互いが「死ぬほどいがみ合っているというなら、
仲良くならなくてもいいが、殺しあわないように
する」
のが先人の知恵だったのだ。
政治家は、アジテーションプロパガンダ
走ってはいけない。




5〜6世紀、大量の移民が大陸や半島から日本に
やってきたが、その後、日本がその母国ともいえる
大陸を一度でも何とかしようとか、帰りたい
なんて、一度も思ったこともない。
明治維新で、福沢諭吉は「脱亜入欧」と言ったが、
日本はその時点で、既に「脱亜入欧」だったので
ある。
矛盾するようだが、自己責任において、どんどん
大陸とビジネスを広げるという事にも自分は
反対しない。民間レベルでは2000年以上に
わたって大陸とそういう交流があったのだから。
日中間では、「断交」「鎖国」を歴史的に繰り返し
ていたが、民間では、民間なりの「交流」があった。
それでいいのである。
日中の場合、仲良くなると、虫唾が走るくらい
お互いを崇め、仲が悪くなると、必要以上に貶し合う。
お互いの、距離が近いせいなのだ。





アメリカで、留学していた時、日系人より、中国人に
いろいろ助けられ、お世話になった。
民間レベルでの交流の方が、国家間のひもつき交流
より、大切だと思う。もちろん、国家間の制約という
リスクを覚悟して、自己責任で、中国大陸で生きるなら
誰もそれを止める人はいない。自分の子供が、そういう
風に生きて、中国人と結婚するなら、自分は反対し
ない。




日本は、末期的な「少子高齢化」に喘いでいる。
中国人移民というわけではないが、自国で人口を増やせ
ないなら、「移民受け入れ」は絶対、視野に入れるべきだ。
歴史的に見て、紀元前、秦王朝の一族、6〜7世紀
には、百済の亡国の民、平安末期にも高麗からの
渡来人たちが、日本に「活性化」を促していた側面
は否定できない。今の日本は、日本だけで、経済・
文化・科学技術を活性化させようとし過ぎている。

もっともっと、太平洋や大陸に開いた国づくりを
考えるべきだ。そうすることで、近隣諸国、特に、
中韓との緊張が和らいでくると、自分は思う。




中韓の言うように、日本が、軍国主義化・右傾化
しているのではない。
日本は、保守化しているのだ。



日本の問題は、活性化された軍国主義じゃなく、
よどんだ保守化に問題があるのだ。