今日の話しは、患者の被曝ではなく、医療従事者(ドクター、技師、看護師など)の被曝の話し。



1996年時、医療従事者の被曝線の限度は、5年間平均で、1年あたり20mSvとなっていた。ただ、IVR(放射線診断による治療に携わる)ドクターは、年20mSvを越えるケースも多かった。現在でも、そうだと思う。とくに高線量のDSAシネスコープの場合、通常のX線透視より高電流で、放射線量も高いという。X線の管球からの位置にもよるが、ワンショットで、0.05〜0.5マイクロシーベルトくらい。 IVRに従事するドクターが、治療と検査を年400回やった場合、年あたり20mSvを越えると考えられている。


大病院なら、IVRが年400回以上、ドクターはお一人でするのではないので、年間制限値を越えるケースは、有名なドクターに限られる(笑)。また、IVR時は、プロテクター(鉛入りエプロン)や鉛入り眼鏡をかけるので、放射線量は軽減される。



ざっと見てくると、医療現場でも、放射線を扱うケースが多く、年間50mSv以上被曝した医療従事者が、1996年時も数人いたという報告があったくらいだ。




広島の原爆の爆心地1kmの被曝量は、4グレイ。シーベルト換算すると、4Sv。4000mSvだ。この放射線量は、1ケ月後に死亡する放射線量。




広島大病院と長崎大病院が、被爆後からおこなった大規模疫学調査では、放射線被爆による遺伝的発生率は、自然界の発生率と、有意差がなく、影響は認められなかった、という報告だ。 チェルノブイリ事故後も、遺伝的発生率を解析中だが、確定的な事実はまだ出ていない、という。



(注)ここで書いた遺伝的発生率とは、次世代に被曝要因が遺伝するかどうかという事です。



他にも、放射線技師は、患者さんに放射性物資を体内に注入し検査する、インビボ検査、シンチ検査などあります。これらの検査でも、放射性物資を取り扱いますので、医療被曝します。具体的によくわからないので、これらの検査は割愛します。



ガンマ線など中性子線の腫瘍治療の医療被曝も、よくわかりません。割愛します。



このように、医療現場では放射線は切ってもキレないものです。原発の現場でも、周辺への被曝については、充分考えてもらいたいすネ。日本ではまだ、シネ、DSA、X線医療機器が爆発したというケースは、まだありません。