先日、近所の息子さんの披露宴に参加し、次から次に出てくる
料理とスピーチと酒に、実に感慨深いものがありました。


カミサンには結婚する際言っていましたが、(こういう進んだ
時代ですので驚く話でもないですが)、父親の父親(私の父方の
祖父)は、戦前(多分、明治時代だと思います)、17か18才で
米国に移民し、ハワイ、シアトルで沖合い士した後、コロラド州
デンバーで不動産(まあ今で言う土地売買、土地ころがし)業で
巨財をなし、第二次大戦前夜、昭和10年ころ、日本に家族を連れて
帰って来ました。父親も生まれはデンバーで、日本に戻っても
日本語ができず、小学校は半ば登校拒否だったらしいです。父には
姉妹(私の叔母)が3人おり、2人は今、テキサスと南カリフォル
ニアにいて、白色系米人と結婚し、孫・ひ孫までいます。

父が日本に帰った頃は、非常に不穏な時代で、ましてや、戦争する
前とは言え、敵性国家のアメリカから、日本語のできない日本人が
ごろごろ帰ってきたわけですから、結構、生活厳しかったと思い
ます。悪いことに、祖父は昭和14年あたりになくなってしまい、
一家は途方に暮れたそうです。とはいってもアメリカの土地取引で
得たお金は莫大で、当時の日米の為替レートの違いもあって、お金は
戦後まで何とか持ちこたえたそうです。ただ、父親の母親(私の
祖母)は、89歳でなくなったのですが、軍国日本に供出した金・銀
・ドルに対して、死ぬまで未練たらたらでした。香港で日本の銀行券を
買った中国人の方々の様に。
父親は戦前の軍国教育のおかげ(?)で、しっかり英語も忘れて、
日本の一流大学(東大)に入れました。父親は大学卒業まで、育成会
奨学金を利用していたらしいですが、父親の学費生活費のほとんどは、
皮肉な事に、当時、進駐軍で仕事をしていた一番上の姉が払っていたそうです。
ここから先は、父が大学を卒業し、大企業に勤め、母と知り合い自分が
生まれた、普通の一家の生活が始まり、子供(自分)は独立した、と
いたってありふれたものです。

父親の父(祖父)はアメリカで、はじめにドイツ系アメリカ人と結婚
していたそうです。死んだ祖母から聞いた話です。結局、子供ができず
離婚したそうです。そして私の祖母と結婚するため日本からアメリカに
写真一枚見て呼び寄せたそうです。
私には兄がいて、小さいときに病気で亡くなったそうです。そうです・・・
と、書いたのは、私がまだ生まれる前だったからです。見たことも
ありませんから。自分は戸籍上は、次男なんですよ。兄が死んで、2年
して私が生まれています。


なんで長々書いてきたかといいますと、今自分が呑気に日記書いてますが、
じいさんが離婚しなけりゃ父はいないし、父が戦争で死んでたら自分は
いないし、まして見たこともない兄貴が生きてたら、両親は子供をもう
作らなかったかもしれない・・・・・。こう考えると、どんな人も
そうなんでしょうけど、自分の存在確率というのは、いろんな事が重なって
たまたま偶然に存在し、かなり低い確率で存在可であったんだと思えます
ねぇ。自分の人生、よく「Cさんは変わった人生、おもしろい人生歩んで
こられましたね。」なんて履歴書と職務経歴書を見て言われますが、
それらを見る前に、毀誉褒貶があったんと思いますよ。家族的にね。



笑っちゃうんですが、3人の叔母のうち一人は、日本にずーといて(アメ
リカには戻らず)、日本人と結婚してます。相手は、陸士を出た、職業
軍人(終戦時大佐くらい)で、終戦時には中国にいました。もう84歳で
すが、いまも健在です。
2人のアメリカに戻った内、1人の叔母は、アメリカ海軍の少尉と結婚
してます。去年、腎臓がんを患い、片方の腎臓とりましたが、健在です。
80歳。

うちのカミサンの親父は生きてれば85歳で、一昨年なくなりましたが
、やはり軍属で、戦時中は靖国神社周辺を警護してたらしく、大尉くらいで
終戦してます。その弟(女房の叔父)は優秀で、海兵卒でまだ健在です。
81か82歳。回りは軍人だらけです・・・・(苦笑)。

アメリカの海軍の義理の叔父が、エアーキャリアでよく
、僕が小さい頃、日本に遊びに来た際、陸士出身の義理の叔父、父なんかと
東京でワイワイ呑んでましたが、たまに戦争映画やTVが、放送してるのに
出くわすと、ごく自然にチャンネルを変えていたのを、覚えています。
なんせ当事者ですからねぇ。

最近、中国や日本でもそうですが、おえらい政治家が、いかにも自分が
戦争をやってきた、戦争で被害をうけたと、妙に、強調しますが、本当に
戦争してきた人たち同士は妙に連帯感があって、厳しい言い方より、
「チャンネルを変える」くらいの事しかしませんよ。政治家も職業なので、
大向こうに受けたいんでしょうけど、ほどほどにしてもらいたい気もします。
実際、自分が戦ったわけじゃあなんだから・・・・・。