日本の安全保障にとって、短期的にも長期的にも危険と
なる国(組織)は、当面、中国と北朝鮮である。



1960、70、80年代には、日本赤軍連合赤軍
テロリスト、内政上の問題が最大の懸念要因で、
ソビエトの牽制はアメリカや中国頼みであった。



ソビエトが崩壊し、アメリカに当時のオーラがない
今は、日本にしろ、インドにしろ、フィリピンにしろ、
ベトナムにしろ、中国と国境を接する国々は、各自が
出来うる範囲の安全保障をしているという様相だ。



韓国はちょっと違う。アメリカから北朝鮮の当て駒に
されているので、中国やロシアへの牽制の役割は免除
されている。しかし、韓国も地勢学上から言えば、
中国やロシアの拡張主義に無縁ではいられないし、
その辺の安全保障を怠ると存亡の危機に陥るはずだ。



中国人は、共産党から、1洗脳されているか、
2洗脳されてると装っているか、3問題意識をもたない
か、三つのパターンにわかれている。1の洗脳されて
いる国民が50%、2と3が残りの50%である。



日本側から言えば、いまの大陸が、台湾並みの民度
なれば(政治も含む)、領土問題での妥協の余地が
あるだろう。民度というのは国民のエチケットというより、
ネットの自由化であったり、海賊版の規制であったり、
日本側にとっては抗日反日的なプロパガンダの廃止で
あったり、そういうことである。
韓国にも同様のことが言える。



そして、安全保障上、大切な観点を言えば、
中国は、1南シナ海、2東シナ海、3インド洋への
アクセスを容易にして、あわよくば自国の内海に
いたいとゆう野心を2005年くらいから隠そう
とはしなくなった。また、韓国も、同様に、
日本海・沖縄周辺への進出をもくろんでいるのは
自明で、両国とも、まず、経済水域の拡張を画策
しているのは明白になっている。



日本がすべきことは、自国の経済水域を守るのは
当然だが、インド・ベトナム・フィリピン・
インドネシア・マレーシア・台湾など、中国の
海洋拡張主義に直面している国との連携と、
その国への援助であろう。連携や援助というのは
、もちろん海軍の派遣である。



中国と韓国に言えるのは、領土的に第2次大戦後の
現状維持(スティタス・クォ)を守りたくない、
という点に尽きる。その点で言えば、まだ、
北朝鮮の方がわかりやすい。



そして一番危惧されるのは、アメリカが、レーガン
父ブッシュ時代に比べて、中国に対して物を言える
力がなくなったことだ。アメリカの力の低下と
中国の台頭。これが最大の問題である。しかし、
移民の国のアメリカは、人口構成が常に若者中心で
あり、高齢化の始まっている中国より柔軟性がある。




経済や軍事力の中心地は、あと20年すれば、
中国からインドに移るだろう。政治改革に成功すれば
中国も先進国になりうるが、いまのままでは、
経済成長を成し遂げて先進国になれず、同時に高齢化
が始まった世界で唯一の国になる可能性のほうが
高い。ただし、ロシア並に政治改革(と言っても
民選挙は名ばかりだが)が進めば、先進国に
なるだろう。



日本は、北朝鮮・韓国に対してはカードがある。
植民地時代から日本には、朝鮮・韓国資本や団体
があり、イザと言う時のカードになる。しかし、
今の大陸中国には、日本国内にカードがない。
中華街はあるし、中華系の人口は外国人の中で
トップの比率だが、彼らは新中国成立以前にきた
華僑だ。したがって、日本にとって彼らはいまの
大陸に何の安全保障上のカードにはならない。



米英は、自国に富裕層の大陸系中国人をどんどん
呼び込んでいる。共産党の子弟はほとんど、米か
英国に留学している。また、企業家も呼び込んで
どんどん資本を投下させている。これが米英の
最大の安全保障であろう。もちろん国家機密や
企業秘密を盗まれる危険度は、日本より高いが
それでも、どんどん大陸系中国人を呼び込んで
いる。




観光客はちらっと日本にきたらすぐ帰るが、企業家・
留学生・技術者などは、その国に恩恵をもたらす
点も多い。
以前中国人が日本の水資源が豊富な土地を買い占める、
という記事があったが、日本の国内法に照らして
違法でなければ、是々非々で、そういった類の
商取引もあり、だと思う。
世界人類みな兄弟などど言う、あまちょろいスローガン
ではなく、中国の資産や人的資源を、日本国内に
留めることが、日本の安全保障にもつながる面がある
ことを、日本政府・日本人は理解すべきだろう。



簡単に言えば、日本の戦国時代の「人質」の発想で、
質の高い人質を如何にして中国から取れるかが、
大切になる。来たら帰ってしまう観光客もいいが、
もっと質の高い連中に、日本に長期に滞在してもらう。
そのためには、ある程度の資源売買も認める方がいいと
個人的には思う。



アメリカでは中国語ブームに沸いてるが、あくまで
話し言葉で、文献やネットを見る、という深い面では
ない。アメリカのシンクタンクは、日本の中国研究
が進んでいるから、日本の中国関連文献の英語訳を
取り寄せているらしい。欧米人は表音文字の人種で
表記文字の人種ではないし、20歳から漢字を
5000字暗記するより、ハーバードの東洋学部教授に
なる方が楽だろう(笑)


どうころんでも、日本と中国は漢字で結ばれた同文同種
の国民で、日本は太平洋だけ見て生きるわけにはいかない。



この2〜3年、日本と中国の軋轢は警戒レベルをゆうに
越えているが、日本と中国はもともと全ての面で
補完関係にある国で、対抗するよりは協力する方が
その国々の効力がおおいに発揮される。


中国が日本を素通りして太平洋に進み、東進したら、
アメリカと衝突するのは自明だが、アメリカはそこに
気がついていないのか、考えたくないのか、そこが
最大のミステリーだ。この日記で以前書いたが、
スイスのように、ナチスドイツ軍に国内を
荒らさなければ、通過しもよいいよ、と、日本が
中国には絶対言わないと、アメリカは思っている
らしい。しかし、それは誤りだと思う。



長い目で見れば、日本は中国海軍を太平洋に通過させ
ると思う。これは10年20年でなく、50年
100年単位の話だが・・・・・
その時、アメリカは、南シナ海東シナ海・インド洋
など、戦略上重要な海域の安全保障をないがしろに
したツケを払うことになる。
誰が見ても、中国海軍の目的は、第2列島線(伊豆諸島、
小笠原、グアムのライン)の突破にあるからだ。


共産党中国が倒れるか、アメリカと戦争するか、
陸中国にとってのオプションも、それほど多くは
ない。


日本はどうすべきか?大陸中国の高齢化が始まる10年
後まで、インド・ベトナム・フィリピンと連携して
中国を牽制するしか、いまのところ方法はない。
そこにアメリカも入ってくるが、アメリカ自身、
ヨーロッパと同じで、中国はお客さんである。
したがって、本気で、中国の圧力を感じている国への
支援はない。リップサービスはあるだろう。



何度も書いてきたが、東アジア・東南アジア・南アジア
は、第一次大戦前夜の様相で、当時は悪者は日本だった
が(笑)
今は中国の動向次第で、この地域の安全保障は、根底
から変化するだろう。中国が台湾並みの民度になるまで
待つしかないが、国境の警備は上記の4ヶ国は怠る
ことはできないだろう。
繰り返しになるが、日本国内に中国の重要な人質を確保
することだ。人質と言うのは重要な情報や資産・企業、
人以外にも、全てを含んでいる。



一日で言えば、日本は午後4時、韓国は午後3時、
中国はまだ午後2時である。しかし、いずれの東アジア
諸国も高齢化を止められない。



30年後は、全ての軸が、東アジアから南アジアに
移動するはずだ。