中共寄りの報道では、今回の「防空識別圏」設定で
日本の尖閣諸島におよんでいる行政管轄権の一部を
奪取できたと論評していた。
一部は正しいが、米国に尖閣諸島の安全保障義務を
世界に再確認させたのは、政治的には中共にとり、
大失敗だった。




日本政府は、尖閣諸島の問題が、中共の脅威に
おびえている他の国々の領土問題と密接につながり
がある事を今一度認識し、取り扱いを慎重に
すべきだろう。




日米が、現在の大陸中国政府を唯一、共産党政権と
認めた1972年の条約がある限り、表だって、
中共政策、中共転覆政策には転換できない。
そこは中共もしたたかで狡猾だ。日米との平和条約・
軍事大国・経済大国と言う看板で、領土問題での
妥協は一切ないだろう。




ここにきて、「棚上げ」に回帰すべきだという、
論評が、日中米の融和主義者に出てきているが、
これも既に「賞味期限切れ」だ。
日本側から見れば、ここで「棚上げ」すれば、
今回の手法が、沖縄諸島にも中共によって及ぶし、
南シナ海の領土問題は、なおさらである。




ここにきて、政治的には、かなり煮詰まって
手詰まり状態だ。中央共産党は、強硬派の
軍部を抑えたり、使ったりしているが、行き過ぎ
ると、強硬派の「ハドメ」を失う危険性も
あるだろう。




親中派の議員、例えば、二階や高村、中曽根
などを大陸に派遣して、多国間協議に中共が応じるか
打診してみるのも一手だろう。その確率は極めて
低いが。さらに、日本は尖閣諸島に、外交上の
問題があると認めることになるので、この
交渉もかなり高度で取り扱いが難しい問題に
なる。





アメリカは世界を俯瞰する政策を標榜して
いるので、尖閣諸島南シナ海の領土問題は、
必ず「リンクする」と見ている。したがって、
尖閣諸島だけ解決して、南シナ海の問題が
残されるとも思っていないし、逆もないと
思っている。




中共は、共産主義で、一旦決めた「綱領」は
なかなか修正できない特性がある。中共内部
から、妥協論を出すこと自体、その高官の
身の危険に及ぶと考えて差し支えない。





東アジアは冷戦時代の米ソ関係の様相を
呈してきたので、政治家は、個々の外交問題
慎重に対処すべきだろう。





日本はソフトの面で、もっと大陸の政治改革
に関与すべきだろう。軍事力で対抗する、
経済力で対抗する、これらだけでは、大陸を
変えることは出来ない。
時間はかかるが、大陸を「普通の国にする」
取り組みが必要だ。
普通の国とは、
1.立憲政治・選挙権・被選挙権・多党制など
2.言論の自由・ネット閲覧の自由・表現の自由
  宗教の自由
3.司法の独立
この3つがメインになる。




中国国内で、グーグル(Youtube)が自由に
アクセスできるようにするのが第一歩で、
これは10年以内に達成すべきだろうし、
アメリカ政府も、そう考えているだろう。




中共が野放しにしている、米英日のコンテンツの
著作権問題も、避けては通れない。
場合によっては、損害賠償もあり得るだろう。




こういったソフトの面を正常化させて、
中国を「普通の国」にする取り組みをしない
限り、領土問題は、未来永劫解決しない。




中国が「普通の国」になれば、領土より
大切なものが、一般国民に発見される
はずである。



いまの日本政府や日本企業の、大陸に対する
取り組みは、なんら、戦前の軍国主義日本と
変わりがないのだ。
そこに気がつかない
日本人が多すぎるので、いつまでたっても
どうでもいい問題が「蒸し返される」のだ。