1945年以後

初めて、日本に、アメリカの安全保障体制の傘を離れた、独自の安全保障体制を築けるチャンスが到来した。 アジア太平洋地域でのパワーバランスの激変が原因だ。アメリカとロシア(旧ソ連)のプレゼンスの低下が原因だ。また共産党中国の巨大化も一因だ。その3国の国力軍事力は拮抗し始めた。その3国に、インドとEU共同体の5極体制に、世界の安全保障体制が変化したと言ってよい。地勢学的に、日本は(韓国、台湾もそうだが)、アメリカ、ロシア、中国などと近く、米中露の利権争いや資源分割の影響を受けやすくなる。米中露が結託して日韓台に、恫喝外交を仕掛けることも、遠くない将来、起こり得ることだ。また米中間、米露間、中露間の紛争も起こり得るし、その紛争に巻き込まれることもあるはずだ。相対的にアメリカの力が弱まり、アメリカの安全保障体制下に日本が居ても、安保条約が機能しない、これが現実だろう。アメリカはオバマさんが大統領になってから、ことアジア太平洋地域では、経済、安全保障のプレゼンスが大幅に低下した。日本にアメリカの代わりが出来るだろうか?第2次大戦前の日本には、ソフト面(経済、文化、科学技術)は劣っていたがハード面(軍事、外交、プロパガンダ)ではアジアをリードしていた。いまは、ソフトは一流に近くなったが、ハード面の本能を、長期間の平和で失ってしまった。日本は、ハード面の本能を取り戻さないと、いけない。そうじゃないと、今後は難しい。 2010年は後世の歴史家に、こう呼ばれるはずだ。「世界は本当の多極化に転換した」と。今回の尖閣諸島問題で一番利益があったのはアメリカだったと、アメリカ、シンガポール、オーストラリアの有識者は言う。共産党中国の脅威論のおかげで、東南アジア、日韓台などの諸国がアメリカのプレゼンス(軍事力)に、なびいたからだ。自分はそうは思わない。米国も共和党政権なら、みすみす共産党中国のフィリピン領とインドネシア領の侵攻を許さなかったはずだ。況んや、尖閣諸島もだ。今回の日本政府の対応に、東南アジアは失望したと、有識者は言う。間違わないでほしい。日本は中国の軍事力の10分の1、核爆弾もない。専守防衛平和憲法にがんじがらめだ。そんな事は、東南アジアは始めからわかっている。それより、ベトナム、フィリピン、インドネシア、日本と中共がここ2〜3年で、侵攻しているのに、何もできないオバマ政権に不安を覚えているのが本心だ。共産党中国に対して、日本よりアメリカの方が、より多くのカードを持ち圧力をかけられるのは、犬でも解る。カード切らないアメリカに、不安を覚えるのである。日本政府は、米軍の駐留は積極的に求めるべきだが、東アジア安全保障の枠組みを、アメリカとは別に(アメリカを飛び越して)、台湾、韓国、オーストラリア、インド、ベトナム、フィリピン、インドネシアと2国間で話しあい、できれば軍事協力、軍事協定まで結びたい。アメリカはまだ、スターウォーズで言えば、アナキン・スカイウォーカーだ。が、今まさに、悪の帝国シス卿(中国共産党とロシア)に、そそのかされている最中で、ダースベーダーに変わろうとしている。ジェダイへの迫害が始まるかもしれない。アメリカがダースベーダーになるのは、個人的に見たくない。自分も大学教育はアメリカで受けた。が、このままでは、他国の領土や資源を、シス卿(共産党中国とロシア)とわけあうことも、アメリカは絶対しない、とは言い切れない。 オビワン・ケノービ(英国)は、アナキン・スカイウォーカー(米国)に言う。「目を覚ますんだアナキン。お前は選らばれた戦士ジェダイなんだぞ」と。