サンフランシスコ講話条約

日本にとって、サンフランシスコ講話条約は、第2次大戦の戦争状態を終結する平和条約とされている。が、日本固有の領土まで放棄させるというオマケまでついた、ちょっといただけない条約だった。しかもその条約に、中共ではなく中華民国が代わりに出ている。普通のビジネスの条約や覚書なら、陳腐化すれば毎年、改定改良していくが、多国間の条約って、ベルサイユ条約(第1次大戦後)もそうだが、10年以上たつと、役立たず。それでも効力がある。いまは、旧ソビエトがロシアになり、そこから多くの国々が独立したし、中共の主権が中国の主権となっている。サンフランシスコ講話条約では、日本は千島列島と樺太の主権を放棄したが、この措置も、講話条約時期の米ソ間の力関係を反映していたと思う。日本は、南沙、西沙、東沙諸島も放棄したが、これらの諸島の帰属は、はっきり明記していない。また、朝鮮および周辺の諸島も放棄したが、この条約では竹島(独島)は日本固有領で韓国に帰属する蓋然性はないと、当時の米国ダレス国務長官は言及したという。いずれにしても、日本の火種の領土問題は、この条約に端を発しているのは間違いあるまい。アメリカは、南西諸島と沖縄諸島小笠原諸島のみに注目していた。血を流した代償である。2正面作戦(ミッドウエー島からアリューシャンそして千島列島に南下する上陸作戦を沖縄戦と併用)を取っていれば、いま現在、千島列島はアメリカ統治下か日本領であった確率はたかい。ただ、戦争終結を早めるため、首都に原爆を落とされた可能性もあろう。 この講話条約には、吉田茂、池田隼人も参加してたが、このザマである。中共と旧ソビエトと何の交渉もしなくて、千島列島や尖閣諸島が、進展するとは思えない。まだ鳩山さん(といってもルーピーじゃなく、お祖父さん)の方が、吉田茂や池田隼人よりマトモな考えがあったという事か。サンフランシスコ講話条約は日本が西側の一員になるために結んだ、固有領土放棄の側面をもつ最悪の条約だった。この時期に、100年の大計を考えて外交しろと言うのは無理なのだろうか?領土問題は棚上げしたり現状固定しても、火種は先送りされるだけだ。平和的に解決できるなら、パレスチナ問題はもう解決されているはず。ほとんど全ての戦争は領土紛争から始まり、これを人類はまだ解決していない。紛争箇所が二ヶ所以上あると、中共とロシアが行った領土問題解決方法、すなわちバーターが出来る。A紛争箇所は相手にくれて、B紛争箇所はこちらが取る、という方法がある。係争領土なぞビジネスライクに割りきらない限り、戻ってくるものじゃないのだ。お互いが固有の領土と主張しあっても平和的には解決しない。実効支配したもん勝ちで、両方の国民感情は悪いまま。エリチン大統領が言ってたが、画期的なアプローチが必要なのだ。彼は画期的なアプローチを出す前に亡くなってしまったが。要約すると、1実効支配の現状固定には無理がある(パワーがある方が勝ちには無理がある)。2歴史的に見て蓋然性があると言うのも無理(どの時点に戻るか?という問題になる。イスラエルは紀元前600年以上前の正統性を主張している。イタリアがローマ帝国の領土を主張するのと同じ)3棚上げも無理がある。「猿の惑星」ではないが、地球上にはFORBIDDEN LANDはない。足を踏み入れてはいけない地域を設定したところで、誰かが行くのである。まして、我々の子孫に禍根を残すだけだ。しかも時が経てば経つほど領土紛争は複雑化する。パレスチナ問題を見れば一目瞭然だ。 領土紛争を解決する処方箋はあるのか?絶対ない 解決策を見いだせれば、ノーベル賞である。